「願わくは花の下にて」あとがき的なもの
あとがきに、西行法師よりで終わりにしてしまったのと、自分の思考を書き留めておきたくて……
今回のベースはキューブラーロスの死の受容のプロセスとモンテーニュでした。
これを元に藍曦臣の心理状態を成長させ、
死側から見た自分の人生の肯定をゴールにして、
ここから阿瑶再考察させる、が到達点だったのですが、ほんっっとうに思うようにならないものです。
キューブラーロスの死の受容プロセスは患者本人の死なので、いわゆるグリーフケア側からのプロセスを探したりして、
否定→切望→怒り→悲しみ→受容
というプロセスに改変して使いました。
否定=冒頭
ここは調整のためにほとんど最後に書いたのですが、阿瑶は死んでない!というところです。
切望=通行玉令のところ
ここを最初に書きました。ここでは生きていないとわかっている。
彼を切望する藍曦臣。
このあと通行玉令は出てこない伏線回収できなかった。
怒り=はじめての自称行為
あとで他キャラクターについては書くのですが藍曦臣が怒る時に、結局向くのは自分だろうなと思います。
弟にもちょっと怒ってましたが。
悲しみ=桂花のところ
ここは悲しみに浸るイメージ。自己憐憫より深くひたひたに。
これより先が受容のためにずっーとずっと書いていました。思うようにならないものです。
後半はモンテーニュの考えを乗せて。
死の恐怖を克服する=死んだ小鳥の場所
小鳥のシーンは小鳥には悪いけど楽しかったです。
死の準備=小川のあたり
このあたりから出てくる随筆はモンテーニュのエセーを模したものです。
彼の人生や考えを文字にする、みたいなイメージですね。
恐怖を言語化する=忘羨のあたり
ここにきてまさかの忘機がテーマをかっさらうという笑
一応曦臣も言葉にしてます。
人生の意味を創造する=魏無羨の教室と再会のシーン。
曦瑶だけど、ある種阿瑶から離れた場所から生きる価値を見いだしてくれるかなと思ったら「阿瑶に会いたい」に戻って行きました。これこそ藍曦臣です。
死は自然の一部=最後のシーン
本来自然はそっちの自然ではないと思うのですがなんかお花いっぱいになってしまいました。
こんな感じの骨組みのなかで、わざと揺れ戻したり、調整したり体調面を追加したり、そんなかんじでたくさん揺さぶり、観音廟前の曦臣とも違う曦臣ができて、彼が阿瑶に出会えたとき、迷いない人になるのではないかな、と。
阿瑶を愛するためには、曦臣自身を許さないといけないわけで
「生きることは有意義ですか」
という阿瑶の肯定は藍曦臣の愛を確かにしてるのです(自分でも話がデカすぎるとは思っている)
そのうえで「恨んでいる」という阿瑶も受け入れられるわけです。
ここで阿瑶は「あなたは何も怖くない」と彼の変化に気づく。
で、「愛している」と言える藍曦臣が生まれる。
これ言語化できてますかね?
阿瑶は愛を受け取りたい人だと思っていて、それが彼の良さであり、彼の弱さであり素晴らしいところだと思っていて、それが書けて満足です。
あと各キャラクターのお話。
藍忘機
宗主になるとき泣きついてみたり、ちょっと幼さがあるんですが、兄から離れられないし、兄を救いたいのに救えないし全部手離したくない彼は苦しかっただろうけど愛おしいです。
魏無羨
こんなキャラクターだっけか?と思いながら彼の「のりかかった船だ」に助けられました。忘羨口論シーンとかは思考が私を通過し、さらにやっぱ違うわと言われて「書き直しではなく、言葉で否定するだけ」という新しいスタンスを知りました。あとからじわじわつらくなりそう。
藍思追
自傷を止めるシーンを書き直す際に「ここで今から転ぶので見ていてそのまま書いてください!絶対今書いたような位置にだけ血はつきません!」と急に声をかけてくれて実演してくれたしごでき男です。あと「私がこの場面にいて、どんな気持ちになるか、影響があるか考えてください」という訴えにより、彼が少しの間病むパートができました。
家僕ズ
家僕は5人います。
途中でやめた男性
埋葬の時に声をかけた年長の男性
随筆を代筆した若い男性
小刀を取り上げた女性
食事を作る若い女性
彼らを含めてみなキャラクターたちにはそれぞれ感情の終着点を意識して書いたのですが、諸事情により削ってしまったためこっそりあげておきます。
※このシーンは藍曦臣死後すぐの支度のシーンのため苦手な方は読まないでください。
番外編 https://privatter.net/p/11213428
彼らにも彼らの人生があり、これからもつづくなか、藍曦臣は重荷になったのか、愛しさになったのか。考えると楽しいですね。
こんなものですかね。長くて引いた。
中編書くの本当に大変で、ツイートで荒れ狂っていてすみませんでした。
自己解釈と話の流れが合わないこととかかなり削ったこともあり…荒れ狂ってました。
ここまでお付き合いありがとうございました。